2014年4月10日木曜日

ゼプリオン、4か月半で17人死亡

ヤンセンファーマの「ゼプリオン」という統合失調症のお薬で、販売開始後4か月半の間に死亡例が17件も報告されています)。

ヤンセンファーマの資料によると、死因としては、

  • 肺塞栓
  • 心筋梗塞
  • 低体温
  • 嘔吐物による窒息

があるようです。(

「2009年以降、世界60か国以上で使用されているが、短期間に多数の死亡例が報告されたことはない」()とあるので、日本だけの問題なのでしょうか?そうであれば、なぜ日本でだけ、こんなに死亡例が出てしまったのでしょう?

色々なことを考慮して、私は他の抗精神病薬との併用が関係あるのでは?」と考えました。
ただ、あくまでも素人意見ですので、参考程度にお読みいただければ、と思います。

人種による差は無い

日本だけの問題である、と捉えた時、まずは人種による薬物動態*に違いがあるのではないか?と考えました。
(*薬物動態:お薬の体内での動きのこと。具体的には、お薬の<吸収、分布、代謝、排泄>の過程です。)

しかし、ゼプリオンでは、人種による薬物動態の差は無いようです(:欧州医薬品庁、2013)。

多剤大量処方の問題

ここで、私の頭をかすめたのが、「日本の精神科医療独自の問題」と言っても良い、多剤大量処方という問題。

日本での精神科医療では、諸外国に比べて多剤投与が多い、と報告されています(:厚労省、2010年)。

この報告によると、「統合失調症患者に対する抗精神病薬併用投与の国際比較の研究報告によると、多くの国では単剤投与が50%以上であるのに対し、日本は単剤投与が20%未満である」とのことです。

また、抗精神病薬投与量のCP換算値**も、日本では諸外国よりも高いことが知られています。
(**CP換算値:抗精神病薬には様々なお薬がありますが、それを「クロルプロマジン」というお薬に置き換えると、どのくらいの量に相当するのかを示す値です。)

例)
・ 、9枚目のスライド
・ 、ページ中ほどの「グラフ1」参照

多剤大量処方の危険性

こういった現状がなぜ問題になるのかというと、薬が一定の量を超えると、効果はそれ以上変わらないのに、副作用ばかりが増えていくからです()。

さらに、定型・非定型抗精神病薬の用量が増えるほど、心臓突然死が増える()、という研究結果も報告されています。

死亡症例の実際

さて、それでは、実際にお亡くなりになってしまった患者さんでの処方状況はどうだったのでしょう?

ヤンセンファーマの資料を確認すると、
「他の抗精神病薬との併用による本剤の有効性及び安全性については確立しておりません。本剤投与中の症状の急激な悪化時等,やむを得ず経口抗精神病薬を一時的に併用する場合を除き,出来るだけ他の抗精神病薬とは併用をしないでください」
とありますが、どの死亡症例でも、他の抗精神病薬の併用が見られます)。

考察

こういったことを踏まえると、「他の抗精神病薬との併用が影響があったのでは?」と、私は考えてしまいます。しかし、初めに申し上げた通り、これはあくまでも素人の意見です。

以上は私の勝手な考察です。

ヤンセンファーマは、
「現時点では,死因や死亡のリスク因子については特定されていません。」
「今回報告されている死亡症例は,死亡に至る前兆の情報がほとんどなく,原因不明の突然死も報告されています。」
と報告しております。

原因やリスク因子が早く特定されることを願っております。


<引用>

統合失調症薬「ゼプリオン」で17人死亡例 (Yahoo!ニュース、読売新聞より)
ゼプリオン®水懸筋注 25mg,50mg,75mg,100mg,150mgシリンジ ―適正使用についてのお願い― (ヤンセンファーマ)
Xeplion : EPAR - Product Information (欧州医薬品庁)
過量服薬への取組-薬物治療のみに頼らない診療体制の構築に向けて- (厚労省)
知られざる統合失調症の薬物治療、身体合併症の発症リスクを啓発 (NPOコンボ)
減薬とスイッチングは一生続けていくこと (大下隆司、Shinfuku, N & Tan C-H. Int Rev. Psychiatry, 20: 460—468, 2008 より)
Atypical Antipsychotic Drugs and the Risk of Sudden Cardiac Death (Ray W.A. et.al, 2009)

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