2012年11月19日月曜日

下垂体よもやま話 ~内分泌の基礎知識~

昨日の医療講演会の内容についてお話したいと思います。まずは島津章先生のご講演から。

島津先生は「下垂体よもやま話~内分泌の基礎知識」というテーマでご講演されました。

1)脳・視床下部と下垂体の密接な関係
2)ホルモンの出方(分泌)の不思議
3)ホルモン検査の必要性

 の3つについてです。
 
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1)脳・視床下部と下垂体の密接な関係

間脳には様々な機能がある、といったことをお話しになっておりました。また、ここで、「ES細胞から下垂体が出来た(Suga et al.)」という報告についてもお話しになりました。以前、私もブログにアップしたことがあったので(参考、この件については若干知っておりました。この研究に関して、島津先生は「下垂体機能の無い方に将来的には、下垂体機能を付与することができる可能性がある、という非常に夢のある話」とおっしゃっておりました。

2)ホルモンの出方(分泌)の不思議

ホルモンの分泌の仕方は「個々の力<スクラムを組んだ力」である、と島津先生は表現されておりました。実は、1つ1つの細胞がホルモンを分泌する量はわずかだそうです。なおかつ、これがバラバラに出ていたら少ししか出ないそうです。しかし、これらの細胞がスクラムを組むと、大きな力を発揮する、とのこと。「ホルモンの有効な分泌には同期した(=スクラムを組んだ)分泌が重要」とのことでした。下垂体の病気には

l  スクラムを組めない
l  細胞の数が少ない
l  1つ1つの細胞が分泌する力が十分でない

といった可能性があるようです。

「細胞自身がくっついていなくても同期をしてホルモンを出す」という仕組みが備わっているとのことですが、とても不思議だな、と思いました。 

3)ホルモン検査の必要性

ホルモンの検査がなぜ必要なのかというと、

l  適正な診断のため
l  適切な治療のため
 
の2つに分けられるそうです。

◆適正な診断のため。

適正な診断のためにホルモンを測る必要があり、ホルモンの基礎値(安定した状態の採血;運動や食事、時間によって変動するホルモンがある)が必要なのですが、ホルモンには

l  1回でモノが言えるホルモン(変動がない)
l  なかなか難しいホルモン(変動する)

の2つがあるようです。確かに先端巨大症に関して言えば、GHは日内変動が大きいホルモンですよね。だから、変動の少ないIGF-1も測るんですね。

◆適切な治療のため

症状と検査値の両者を見る必要がある、とのこと。というのも、症状の改善にはタイムラグがあったり、体の部位によって反応が異なったりするからだそうです。

l  タイムラグ:時間経過

Ø  症状と検査値が異なる場合がある。
→検査値と症状が同じタイミングで変化するとは限らない。

l  反応の違い:体の部位で反応は異なる

また、血液中に流れているホルモンの量を測ることで行っていることは、分泌量と受容体への働きかけ方を想像しているに過ぎない;つまり、検査値は大事だが、症状と検査値が一致するとは限らないそうです。

◆いわゆる「負荷試験」は必要か?

負荷試験が必要な場合は、下記の4通りに分けられるようです。

l  基礎値の違いでは判定が難しい場合

l  どれだけホルモンを出せる力が残っているかを調べる場合

→分泌予備能のチェック

(分泌予備能:手術などのストレスがかかった状態で、下垂体がどれぐらい機能を発揮するか)

l  診断の補助や治療効果の判定のため
Ø  普通と異なった反応がある場合

l  検査の組み合わせで障害部位を想定するため
Ø  どの場所が悪いのか


<過去ログ>
ES細胞から下垂体形成

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