2012年11月30日金曜日

【東京】12月1日に副腎疾患の市民公開講座

明日、東京で副腎疾患の市民公開講座が開催されます。詳細は下記の通り。

「副腎疾患の現状と今後」市民公開講座
~クッシング症候群と副腎皮質機能不全症~

日時:
12月1日(土) 11:00~13:45 (11:00開場)

場所:
ベルサール八重洲 3階 Room4
「日本橋駅」 A7出口 直結 (東西線・銀座線・浅草線) 
「東京駅」八重洲北口徒歩3分(JR線・丸ノ内線)

参加費:
無料

11:00 開場・受付開始
11:30 開会
      講演1 「クッシング症候群」
            聖マリアンナ医科大学 准教授 方波見卓行
      講演2 「副腎皮質機能不全症」
            福岡大学医学部 教授 柳瀬敏彦
12:30 休憩
12:45 質疑応答&交流会
13:45 閉会

※会場内は飲食可能です。
開演まで、皆様の昼食場所としてご利用ください。

主催:副腎ホルモン産生異常に関する調査研究班
(事務局)福岡大学医学部 内分泌・糖尿病内科



2012年11月21日水曜日

先端巨大症:新しい薬剤

今日は山田正三先生のご講演についてです。今回は、私の取ったノートを掲載させていただきます。

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先端巨大症とは?

GH(成長ホルモン)を過剰に分泌する下垂体腫瘍によって起こる進行性の慢性疾患。

(IGF-1は肝臓で作られるホルモン。GHにより肝臓でIGF1が作られ、体の組織に働きかける。)

骨端線があるうち(小児期)、つまり骨がまだ伸びる状態の時に発症したものは巨人症となり、背が伸びる。骨がもうこれ以上伸びない状態になってから(成人期に)発症したものは先端巨大症となり、末端が肥大する。

発生率は100万人につき3~4人で、あまり多い病気ではない。診断される年齢は中高年が多く、男女比はあまりない。

先端巨大症になると、特徴的な外見になる。術後、骨は変わらないが、軟部組織はすっきりとする。

発症から診断までに約10年はかかっている。外来で、患者さんの手が大きいことを指摘しても、「もともと大きい」と言われることがある。実際に、徐々に変化していくため、本人もなかなか気づかない


全身合併症

主なものには、
  • 心臓血管系(高血圧、心疾患)
  • (睡眠時無呼吸症候群)
  • 代謝(糖尿病、高脂血症)
  • 神経・筋肉(腰痛、手根管症候群、関節痛)
  • 悪性腫瘍
があり、容姿だけの問題ではない。

その他、頭痛などがある。日常生活が送れないぐらい痛む人もいる。

また、腫瘍が大きくなってしまうと、視神経が圧迫されるため、視野が狭まる。さらに、通常の下垂体の機能が悪くなったり、頭痛が起きたりする。これらの症状は、成長ホルモンが高いからではなく、腫瘍自体が周辺組織を圧迫することによって起きるものである。

したがって、成長ホルモンやIGF-1の値の高さと腫瘍の大きさによって症状が決まってくる。

先端巨大症は放っておくと、合併症のため、通常よりも10年ほど寿命が縮まる。したがって、困った症状が無かったとしても、先端巨大症は治療が必要な病気である。 

治療は大きく分けて、
  • 外科的治療(手術)
  • 薬物治療(お薬)
  • 放射線治療
の3つがある。

今のところ、先端巨大症に関しては、治療の第一選択は手術である。しかし、高齢で手術が受けられない、手術をどうしても受けたくない、手術しても治りそうにない場合などは薬物治療を第一選択とすることもある。

もっと良いお薬が出れば、将来的には薬物治療が第一選択となるかもしれない。しかし、今のところ、お薬に関しては「単に飲むだけ」という簡単なものではなく、1か月に1度注射をしたり、毎日自分で注射をしたりするなど、治療を続けていくうえでの患者さんの負担が多いのが問題である。

なお、手術だけで完全に治癒しないこともある。しかし、重要なのは、「治る・治らない」の問題ではなく、治らないにしても、なるべく治癒の方向に近づけていくことである。そうすることで、後に使うお薬の効きが良くなるからである。


では、そのお薬とはどんなものがあるのか?


①ドパミン作動薬(カバサール、パーロデル、テルロン)

成長ホルモンを出している腫瘍の細胞に直接働く。ドパミンの受容体が成長ホルモンを出す腫瘍細胞にある場合に、このお薬が効く。

利点は経口薬であることと、薬価が安いこと。プロラクチンを同時に産生する腫瘍で有効であるが、一方、有効症例が少ない510%)。また、GH,IGF-1が著明に高いものでは効果が得られにくい。


②ソマトスタチン誘導体(オクトレオチド、オクトレオチドLAR

ソマトスタチンは成長ホルモンの分泌を抑制するホルモン。ソマトスタチン誘導体とは、生体内でのソマトスタチンよりも長く効くように作られたお薬。この種類のお薬は先端巨大症の中心的なお薬

利点は即効性、症状の改善、腫瘍に直接働く、といったこと。また、60%の症例でGHIGF-1の正常化が得られるので、有効率が高い。腫瘍の縮小も6570%で見られる。一方、一過性の胃腸症状や、まれに胆石が生じること、高価であること、投与方法が煩雑であることが欠点である。


③GHレセプター拮抗薬(ペグビゾマント)

成長ホルモンの作用をブロックするお薬。成長ホルモンは高いままだが、IGF-1は正常化される。

即効性、有効性が高率であることが利点。一方、毎日自分で注射しなくてはならないことと、成長ホルモンはむしろ増加すること、腫瘍の抑制効果も無いことが欠点。


薬物治療では、これらの3種類のお薬を上手に使っていくことが重要。

1つのお薬を単独で使って効く場合はそれで良いわけだが、そうでない場合は、例えば、サンドスタチンLARとペグビゾマントの併用療法といったことも行われている。これは、2つの薬の「いいとこ取り」といった考えに基づいた治療法である。


ここまでが、現在日本でできる薬物治療について。

ここからは新しいお薬の話…。



(来月12月に認可がおり、1月ぐらいから使えるようになる)

ソマトスタチン誘導体であり、効果に関してはオクトレオチドとあまり変わらない。利点は、煩雑な操作が不要である、つまり注射が簡単になるため、準備にかかる時間が大幅に削減される。また皮下注射であることも利点となりうる(日本ではまだ自己注射はできないが、将来的には自己注射ができるようになるかもしれない)。欠点は、薬価が高いということ。



そろそろ治験が始まる。これも、ソマトスタチン誘導体。ソマトスタチン受容体には12345の5つあり、今までのお薬は25にくっつきやすかったが、パシレオチドは1235といった広範囲な受容体にくっつくことができる

ちなみに、クッシング病ではソマトスタチン受容体の5が重要になってくるため、クッシング病への適応も同時に治験されている。



イスラエルのベンチャーがソマトスタチン誘導体の経口薬を開発し、その有効性を示す論文が少しずつ出てきた。特別な形にすることで、腸から吸収できるようにしたお薬。


以上、お薬について。
 

なお、放射線治療についてだが、今のところは第三の選択肢とされている。(手術をやって、お薬をやってもコントロールがうまくいかない、という場合)

放射線療法はIGF-1が下がるまでに年単位で時間がかかるため、即効性は無い。また、IGF-1が非常に高い腫瘍には使うべき手段ではない。むしろ、腫瘍の成長を止めたり腫瘍を小さくしたりするのと同時に、成長ホルモンも下げる、といった考えで行うべき。したがって、「放射線だけで下げる」という考え方はおすすめしない。

また、お薬を使うと放射線が効かない、という考え方もある。十分なエビデンスがあるわけではないが、私は薬をやめてから放射線をかけている。

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途中、「先端巨大症の方は大きくて力持ちだが気は優しい、と言われている。成長ホルモンは気持ちを豊かにするホルモンでもある。」とおっしゃっていて、思わず「そうだと良いんだけどな」なんて思ってしまいました。^^

<過去ログ>

 

2012年11月19日月曜日

下垂体よもやま話 ~内分泌の基礎知識~

昨日の医療講演会の内容についてお話したいと思います。まずは島津章先生のご講演から。

島津先生は「下垂体よもやま話~内分泌の基礎知識」というテーマでご講演されました。

1)脳・視床下部と下垂体の密接な関係
2)ホルモンの出方(分泌)の不思議
3)ホルモン検査の必要性

 の3つについてです。
 
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1)脳・視床下部と下垂体の密接な関係

間脳には様々な機能がある、といったことをお話しになっておりました。また、ここで、「ES細胞から下垂体が出来た(Suga et al.)」という報告についてもお話しになりました。以前、私もブログにアップしたことがあったので(参考、この件については若干知っておりました。この研究に関して、島津先生は「下垂体機能の無い方に将来的には、下垂体機能を付与することができる可能性がある、という非常に夢のある話」とおっしゃっておりました。

2)ホルモンの出方(分泌)の不思議

ホルモンの分泌の仕方は「個々の力<スクラムを組んだ力」である、と島津先生は表現されておりました。実は、1つ1つの細胞がホルモンを分泌する量はわずかだそうです。なおかつ、これがバラバラに出ていたら少ししか出ないそうです。しかし、これらの細胞がスクラムを組むと、大きな力を発揮する、とのこと。「ホルモンの有効な分泌には同期した(=スクラムを組んだ)分泌が重要」とのことでした。下垂体の病気には

l  スクラムを組めない
l  細胞の数が少ない
l  1つ1つの細胞が分泌する力が十分でない

といった可能性があるようです。

「細胞自身がくっついていなくても同期をしてホルモンを出す」という仕組みが備わっているとのことですが、とても不思議だな、と思いました。 

3)ホルモン検査の必要性

ホルモンの検査がなぜ必要なのかというと、

l  適正な診断のため
l  適切な治療のため
 
の2つに分けられるそうです。

◆適正な診断のため。

適正な診断のためにホルモンを測る必要があり、ホルモンの基礎値(安定した状態の採血;運動や食事、時間によって変動するホルモンがある)が必要なのですが、ホルモンには

l  1回でモノが言えるホルモン(変動がない)
l  なかなか難しいホルモン(変動する)

の2つがあるようです。確かに先端巨大症に関して言えば、GHは日内変動が大きいホルモンですよね。だから、変動の少ないIGF-1も測るんですね。

◆適切な治療のため

症状と検査値の両者を見る必要がある、とのこと。というのも、症状の改善にはタイムラグがあったり、体の部位によって反応が異なったりするからだそうです。

l  タイムラグ:時間経過

Ø  症状と検査値が異なる場合がある。
→検査値と症状が同じタイミングで変化するとは限らない。

l  反応の違い:体の部位で反応は異なる

また、血液中に流れているホルモンの量を測ることで行っていることは、分泌量と受容体への働きかけ方を想像しているに過ぎない;つまり、検査値は大事だが、症状と検査値が一致するとは限らないそうです。

◆いわゆる「負荷試験」は必要か?

負荷試験が必要な場合は、下記の4通りに分けられるようです。

l  基礎値の違いでは判定が難しい場合

l  どれだけホルモンを出せる力が残っているかを調べる場合

→分泌予備能のチェック

(分泌予備能:手術などのストレスがかかった状態で、下垂体がどれぐらい機能を発揮するか)

l  診断の補助や治療効果の判定のため
Ø  普通と異なった反応がある場合

l  検査の組み合わせで障害部位を想定するため
Ø  どの場所が悪いのか


<過去ログ>
ES細胞から下垂体形成

2012年11月18日日曜日

(再掲)【今日!】下垂会総会と医療講演会

いよいよ今日、下垂会の総会と医療講演会が開催されますので、再度ご案内させていただきます。

日時:
2012年11月18日(日) 13時開場、16時まで

場所:
虎の門病院 旧館講堂
(今日は正門が閉まっているので、入院病棟の入り口から入って、旧館のエレベーターに乗ってください)

内容:
下垂体患者の会の総会、および医療講演会

会費:
500円 (非会員 800円)

    

医療講演会について

①山田正三 先生
「先端巨大症治療 これまで、これから~下垂体を専門とする外科医の役割、新薬に触れて」

②島津章 先生
「下垂体のよもやま話」


質疑応答も行うそうですので、検査結果などご持参されると良いかと思います。
それでは、皆様、現地でお会いしましょう(^^)/