2012年5月13日日曜日

Pasireotide(パシレオチド)の第三相試験の結果

英国内分泌学会のホームページに、こんな記事が出ておりました(↓↓↓)。

Novartis have announced the results of their phase III trial examining the use of pasireotide for the treatment of acromegaly. The study was presented at the joint International Congress of Endocrinology/European Congress of Endocrinology.

(ノバルティスは、先端巨大症治療薬としてパシレオチドを使用する有用性を検証するための第三相試験の結果を発表した。この研究は国際内分泌学会/欧州内分泌学会合同会議で発表された。)

詳しい記事はこちら(英語)

では、内容を日本語で説明させていただきます。

-------------------------------------------------------------------
第三相試験で、長時間作用型パシレオチドを投与した患者と長時間作用型オクトレオチドを投与した患者を比べました。

先端巨大症の患者で、薬物療法を行ったことのない患者(手術の有無は問わない)、358人を無作為に、下記の治療群に振り分けました。
  • 長時間作用型パシレオチド(40㎎)
  • 長時間作用型オクトレオチド(20㎎)
どちらのお薬も、筋肉内注射で28日毎の投与です。

用量漸増は3ヶ月後、7ヶ月後に許可。具体的な漸増と、漸増した患者の割合は下記の通り。
  • 長期間作用型パシレオチドでは、50.6%の患者が60㎎へ漸増。
  • 長時間作用型オクトレオチドでは、67.6%の患者が30㎎へ漸増。

エンドポイントは「先端巨大症の完全なコントロール」で、この「完全なコントロール」は
  • 成長ホルモン値 <2.5mcg/L
  • IGF-1が正常値
と、定義されております。

…さて、治験開始から1年後、先端巨大症が完全にコントロールできている症例数を比べてみたところ
  • パシレオチドの患者では、31.1%
  • オクトレオチドの患者では、19.2%
と言う結果で(P=0.007)パシレオチドの患者の方が有意に多かったようです。

成長ホルモン値 <2.5mcg/Lに関してはパシレオチドとオクトレオチドの間には有意差が見られなかったとのこと。ただし、IGF-1に関しては、完全にコントロールできていた患者数は
  • パシレオチドでは、38.6%
  • オクトレオチドでは、23.6%  (P=0.002)
という結果で、パシレオチド群の方が有意に多かったみたいです。

また、IGF-1の下がり方ですが、3ヶ月目までに下がっていき、その後はそのレベルが維持されている、というパターンが平均的なようです。

副作用については、どちらのお薬も同じような安全性を備えていますが、高血糖に関しては、
  • パシレオチドでは、28.7%
  • オクトレオチドでは、8.3%
 という発生率で、パシレオチド群の方が高血糖が出やすかったみたいです。

その他の副作用の発生率の相違は下記の通りで、オクトレオチドの方が発生率が高かったようです。(オクトレオチド vs パシレオチド)
  • 下痢 (45% vs 39.3%)
  • 胆石症 (35.6% vs 25.8%)
  • 頭痛 (26.1% vs 18.5%)

…この治験にはさらに続きがあります。

治験開始1年後に先端巨大症が完全にコントロールできていなかった患者を対象とし、6ヶ月、治験を延長しました。この段階では、患者には薬剤を変更する選択肢も与えられ、3ヶ月ごとの用量漸増も許可。

6ヶ月後…。
先端巨大症が完全にコントロールできるようになった患者は、下記の通り。
  • パシレオチドに変更した患者81人のうち21%
  • オクトレオチドに変更した患者38人のうち2.6%
-------------------------------------------------------------------
一言で結論を述べるならば、「オクトレオチド(サンドスタチンLAR)に比べ、パシレオチドの方が先端巨大症の治療に有効であり、また副作用も高血糖を除けば少ない」ということでしょうか。

このパシレオチドというお薬、サンドスタチンLARでもIGF-1がコントロールできなかった患者さんには、一筋の希望となるお薬ではないでしょうか。

パシレオチドは、最近、欧州でクッシング病治療薬として承認されたそうですが、今度は先端巨大症治療薬として承認されると良いですよね。そして、なるべくドラッグラグ無く、日本でも使えるようになると良いな、と思っております。


<参考URL>
New Drug Controls Growth Hormone Disease (英国内分泌学会)
New Drug Controls Growth Hormone Disease (MedPage Today)

<過去ログ>
Pasireotide (SOM230)
Pasireotide、クッシング病に有効


0 コメント:

コメントを投稿