2012年5月27日日曜日

「脳のホルモンって何?」に参加してきました

昨日、5月26日(土)に日本医科大学で開催されました第4回市民公開講座「脳のホルモンって何?~下垂体機能低下症について~」に参加してきました。

外科的な立場からと内科的な立場からの両方からのご講演を聴講することができました。

外科的な立場

日本医科大学付属病院の石井雄道先生から「下垂体機能低下をきたす脳神経外科疾患と手術」というテーマでご講演いただきました。

イントロでは、ヨガのチャクラでは、6番目のチャクラがちょうど下垂体にあたる、といった、なかなか興味深いことをおっしゃっておりました。

下垂体機能低下を起こす疾患の63.5%が下垂体腺腫だそうです。他には頭蓋咽頭腫なども。

下垂体腺腫のうち、非機能性(ホルモンを産生しない)の腫瘍は30~40%とのこと。
これが、下垂体組織を圧迫してしまうので、下垂体の機能低下が起こるようです。

ご講演では、経蝶形骨手術の映像も見せていただきました。
興味深かったのが、手術終了時に日医大ではセラミックのプレートを入れて閉じる、というところ。
実は私はこのプレートは入っておりません。
このプレートに関しては、入れる・入れないでは意見が分かれるところのようです。
私はこういったお話は今回、初めて聞きました。

機能低下に関しては、
  • 「圧迫によるもの」(下垂体腺腫、髄膜腫、嚢胞性病変)
  • 「下垂体の障害によるもの」(頭蓋咽頭腫、胚細胞腫、炎症を伴うもの)
の2つに分けられる、とのことでした。

また、治療に関しては、下垂体に負担をかけない、正常下垂体を残す、元の状態に戻す、といったことが大切である、とおっしゃっておりました。


内科的な立場

東京女子医科大学の肥塚直美先生から「おとなにも成長ホルモンは必要?」というテーマでご講演いただきました。

まずは、主な内分泌臓器とホルモンについての復習からご講演を始めていただきました。

視床下部 → 下垂体 → 内分泌臓器

という流れから始まって、下垂体ホルモンの種類についてお話されました。

また、ホルモンには
  • ペプチドホルモン
    • インスリン、GHなど
  • ステロイドホルモン
    • 副腎皮質ホルモン、女性ホルモン、男性ホルモンなど
  • アミンおよびアミノ酸
    • 甲状腺ホルモンなど
の3種類があることもご指摘されました。
そこから、どうしてペプチドホルモンのお薬は注射剤なのか、といったご説明もされました。

そして、下垂体ホルモン一つ一つの補充についてのご説明に入ります。
ACTH、TSH、ゴナドトロピン(FSH、LH)、PRL、ADH、GHという順番。

ACTHのご説明では、「ACTHは生命維持に不可欠なホルモンである」という点を力説されておりました。勝手にハイドロコーチゾンによる補充をやめる、つまりお薬をやめるとクリーゼに至り、危険だそうです。

TSHのご説明の中で、今回初めて知ったことは、「ACTHが低い場合、甲状腺ホルモンを先に投与するのは禁忌」といった内容。シーハンなどでACTHもTSHも共に低い場合、まずは、ハイドロコーチゾンで補充を行い、その後、甲状腺ホルモンを少量から投与する、という治療にする必要があるそうです。この順番を誤ると病状が悪化する、と仰っておりました。

ゴナドトロピン(FSH、LH)については、挙児希望でなければ、女性の場合は女性ホルモン、男性の場合は男性ホルモンをそれぞれ補充する形になるそうです。しかし、挙児希望の場合は、ゴナドトロピン療法が必要とのこと。

PRLは、多い場合は治療が必要ですが、少ない場合は特に治療は行わないそうです。

ADHは、尿を濃縮して体内に水分を維持させる重要な機能がある、とのこと。デスモプレシンで治療をするそうです。

そして、最後にGH。GHは、その分泌量こそ変動しますが、生涯にわたって分泌され続けるホルモンです。そのため、「成人でも、GHは何らかの働きがあるのではないか?」と考えられていたそうです。

その考えを裏付けるものになったのが、1990年にスウェーデンでの「下垂体機能低下症における心血管疾患での死亡率」という研究。下垂体機能低下症では、心血管疾患による死亡率が高いことが分かったそうです。

それだけではなく、成人でGHが低いと、例えば脂質異常症、糖代謝異常症、肝障害も起きやすいそうです。

成人でのGH補充ですが、これを行うと、「QOLが向上した(疲れにくくなった、フルタイムで仕事ができるようになった、肥満が改善した等)」という患者さんもいらっしゃる一方、「特に変わらなかった」という患者さんもいらっしゃるようです。ですから、GH補充療法に関しては、「とりあえずやってみて、効果が無ければやめてもいいのでは。やってみることが大切。」というのが肥塚先生のご意見でした。


<過去ログ>
【再】5月26日(土)市民公開講座(東京都)

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