2011年9月10日土曜日

PTSDを防ぐお薬???

PNA (Pituitary Network Association) の9月のニューズレターに面白い記事がリンクされていたのでご紹介します。

イスラエルの研究員がPTSDの緊急予防薬を開発

まずは背景
「うつ病や統合失調症は徐々に発症するもので、ある時突然なるものではない。しかし、PTSDに関しては心的外傷となる出来事への反応として起こる。」
心的外傷後、投薬することでPTSDの発症を防ぐお薬を開発しよう、ということです。言うなれば、原文の題名通り、「緊急避妊薬のPTSDバージョン」といったところでしょうか。

今までの治療法は?
最近までは心的外傷に対してはValium(日本ではセルシン、ホリゾン)などのベンゾジアゼピン系の安定剤を投与するのが一般的だった。
今でも日本はそうですよね。しかし、これはあまり良くないそうです。
こういった薬剤でリラックスできる効果があるものの、これらの薬は体内でのコルチゾール分泌を遅延させる。
これが問題のようです。動物実験によると、このような反応が起きると、体のPTSDに対する防御能力が減少してしまう、ということが分かっているそうです。そんなこともあって、米国の医学団体はベンゾジアゼピン系薬剤を外傷後のストレス症状緩和に使うことを避ける方向付けをしている、とのこと。へぇ、そうなんだ!

実験について

今回の被験者は24人。交通事故で生き残ったものの、ストレス症状の出ている人たちです。
  • Aグループ:(12人)コルチゾール100mgを外傷後6時間以内に1度だけ注射 
  • Bグループ:(12人)プラセボ(偽薬)
そして、結果は下記の通り。
  • Aグループ:1ヵ月後、1人がPTSDと診断された。3ヶ月後、PTSDの兆候を示す被験者はいなかった。 
  • Bグループ:3人がPTSDを発症した。
つまり、外傷後、ストレス症状がある人にはコルチゾール(100mg)の投与が有効かもしれないわけですね。
この実験ではコルチゾールが注射剤でしたが、錠剤では駄目なのか、という研究もこれから行うそうです。

なぜ外傷後6時間以内?

この「6時間」という時間は、外傷の記憶の定着にかかる時間だとか。
感情の記憶が定着しなければ、後になってPTSDが発症することはない
なるほど。記憶が植えつけられてしまう前にコルチゾールを与えることで、体をストレスから守る、ということなんですね。

論文はいつ出る予定?

今年の12月に出る予定らしいです。ジャーナルは European Neuropsychopharmacology
まだまだ実用化には時間がかかりそうですが、導入されたらかなり画期的ですよね。


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