2011年9月19日月曜日

喪失体験の心理段階

病気は様々なことを、その患者さんから取り上げます。私にとっても、先端巨大症は一種の喪失体験でした。

「今までと同じように、精力的に活動できなくなった」
「容姿に対する自信が無くなった」
「大学院を諦めなくてはいけなくなった」
「自分の能力への自信を失った」
「帰国しなくてはいけなくなった」
「『健康感』を失った」

などなど。

病気によって得たものもありますが、その前に失ったものも沢山あるのです。

そんなこともあり、改めて Alone in My Universe の "Psychological Aspects of Acromegaly" (先端巨大症の心理的側面)というチャプターを読み返しました。そこには、大学在籍中、「グリーフ・カウンセリング(喪のカウンセリング)」で学んだ、お馴染みの「喪失体験の心理段階」が示されております。ご存知の方も多いかと思いますが、せっかくなのでご紹介させていただきます。 (そのまま日本語訳させていただきました。)

あきらめ:これは受容とは異なる。この段階では、どうすることもできず、コントロールを失う。

否認:ショック、信じられない、感情の麻痺。「こんなことが自分に起きているわけがない。」

怒り:「どうして私なの?何を/誰を責めればいいの?」

取引:「そうならないためなら、私は何だってするわ。」

抑うつ:「何をするにも、もう疲れてしまった。」あきらめを含むこともある。

受容・適応:「私はこれを受け容れることができる。役に立つ、順応性のあるやり方でコントロールを取り戻すわ。」

(参考文献: Alone in My Universe: Struggling with an Orphan Disease in an Unsympathetic World. 308ページ)

当然ながら、全員がこの6つの段階を順番どおりに1つ1つ経験していくわけではありません。人によってはある段階を飛ばすこともあるでしょうし、また段階を行ったり来たりすることもあります。

現に私も受容まで行き着いた、と思ったら、抑うつに戻ったり、とやっています。一度乗り越えても、何かのきっかけで戻ったりするんですよね。でも、それは退行ではないと思います。私自身、ステップバックした時に感じるのは、今まで、その段階をクリアした時とは異なる視野・視点をもって取り組んでいる、ということです。 そして、同じ段階をクリアしただけなのに、以前よりも成長していたりするんです。面白いものですよね。

こういった段階を知識として知っておくことは、自分(や周囲の人)のことを理解するうえで大切なことだと思います。たとえば、自分がちょっとオカシイ、と感じたとき、「あぁ、今は『怒り』のステージか。」などと分かれば、自分の問題にラベルすることができ、気持ちが楽になる、というのもあると思います。

<過去ログ>
悲しみを感じる強さ、涙を流す強さ

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