2010年2月3日水曜日

アメリカにおける診療-その6

MSG無添加って難しい?
ベジタリアンは生き残れないの?
食事内容の選択って出来ないの?
厳格過ぎる!

女子医大のNST(栄養サポートチーム)は入院中、本当によく私の面倒を見てくださいました。
私は日本ではあまり知られていませんが、MSG(グルタミン酸ナトリウム)、いわゆる味の素のような「アミノ酸等」とよく表示される合成調味料に過敏に反応してしまう、という特異体質のため、NSTの方も大変だったのでは、と思います。アメリカではMSGでひどい頭痛を起こす人が沢山います。なので、病院食は基本的にMSGを使わないものでした。

ところが、日本ではどこにいってもMSGだらけ。私のMSG過敏症はアメリカで発覚したものでした。MSGを避けることで、慢性頭痛がかなり軽減されたので日本でもMSGフリーの食生活を続けたかったのですが、まず、外食ではそれが実現不可であることが判明。病院に入院してもMSGの入ったものが食卓に並びます。日本ではMSG過敏症でなければ、あまり意識することもないマヨネーズとかサラダドレッシングとか、そういったものに忍び込んでいるのです。それらを食するたびに私は頭痛に悩まされる、といった生活が始りました。(少なくともアメリカではマヨネーズにMSG添加されているものを私は見たことがありません)

アメリカではMSGは悪者扱いされることが多いので病院の食べ物に忍び込むことはまずありません。また、その可能性があったにせよ、初めに「私はMSGはだめなんです」の一言でNSTは"No MSG"と指示を出してくださいます。

女子医大は優れた病院なのでNSTの方が「禁MSG食」(本当はMSGではなく、具体的なブランド名が出ていたように思います)として下さいました。しかし、別に付いてくる調味料(ドレッシングなど)にはご立派に「アミノ酸等」と記載されていました。日本は「味の素」を作った国なので、おそらく「アミノ酸等」無添加、となると難しかったのでしょう。ただ、私は個人的にそういったニーズにも答えられるような医療(というかこれは食の問題ですよね)があればいいな、と思ってしまいました。(NSTの皆さんには明らかに大きな負担となることはご承知で、こんな生意気なコメントをさせていただいております)

また、私はあの頃ベジタリアンだったのですが、NST側がイマイチ「菜食主義者」についてご理解なかったのか、はたまた私の説明不足だったのか分からないのですが、肉こそ出てこないものの、魚介類がご立派に食卓に並んでいるのを見て、若干青ざめました。 「うわっ、生き物の死骸がいる」と思ったものです。海老のお頭ごと出てきたときにはなんだか死んだ海老の目が痛々しくてたまりませんでした。(こういう感覚って日本でずっと暮らしてきた方には分からないものなのかしら?)

ベジタリアンには実は様々な種類があるんです。私はLacto Ovo Vegetarian(ラクト・オボ・ベジタリアン)と呼ばれるカテゴリーで、いわば、乳製品と鳥の卵はいただく菜食主義者でした。 厳格なベジタリアンはVegan(ビーガン)と呼ばれ、動物の殺傷に関わる全てを拒絶する、という生き方をする人々です。ビーガンは、たとえば革製品すら否定します。こういったことから、ベジタリアンである、ということは食だけの問題ではない、ということが容易に検討が付くか、と思います。

話は食の面に戻りますが、アメリカではベジタリアン食は当たり前のように病棟にやってきました。だいたい、ベジタリアンでない方々がうらやましがるような量と内容だったことを覚えています。それが、日本では、そういった食事に対する哲学的なアプローチをする人が少ないせいか、理解を得にくい印象があります。

現在も、自ら肉類、魚介類を買って調理するようなことは決してしませんが、ただ付き合いでの食事の席では妥協するようになりました。しかし、私は病院においてはもっと食の選択が出来たら、どんなに素晴らしいだろう、と思います。ただでさえ抑うつになりがちな病棟内、少なくとも食事の時間だけは楽しいものであってほしい、と強く思います。

選択といえば、アメリカでは食事の選択をすることが出来ました。早朝、または前日の夕方にメニュー表が渡されました。メイン、サイド、飲み物、デザートと分かれていて各項目に複数のメニューが記載されているので、好きなものに指定された数だけ印をつけるシステムでした。糖尿病などで食事制限が必要な患者さんにもきちんと選択肢が与えられていました。それが、日本では女子医大はまだ進んでいるので「食べたくない物、食べられないものなどありますか?」とNSTの方が定期的に尋ねて下さいましたが(後に他の施設の現状を知るようになってから女子医大のNSTの素晴らしさを知るようになるのです)、一般的にはそこまで恵まれていないようですね。女子医大のNSTですら、当時、アメリカ帰りの私には不満でした。

また、アメリカでは食事がとにかく量が多かったので(病院食もすごい量でした)、日本で入院中、やたらとお腹がすいて、よく売店にシュークリームのようなカロリーの高いものを買いにいっていました。今考えると、耐糖能障害があるにもかかわらず高カロリー、高糖質のお菓子を食べるのもいかがなものか、と思いますが、それぐらい食事の量が極端に少なく感じました。ただでさえ入院していると気が滅入ってきて、3度の食事だけが唯一の楽しみと化してくるのに、あそこまで厳格な食事管理をされると、なんだかさらに気が滅入ってしまいました。そんなに神経質にやらなくてもいいのでは?と生意気にも思ってしまいました。

今日、営業中に某病院さんの(結構有名な)栄養士さんとお話する機会があって、日米の病院における食事管理の違いについて対談させていただきましたが、つまるところ、その国の食に対する考え方でこのような大きな違いがでてくるそうです。

食にだけ関していえば、入院するなら私はアメリカがいい、というのが本音です。自分の食べるものは自分で決めたいですし、厳格に栄養管理されるのは苦手だからです。また、私は食事に様々な制限・指導があるので、「みんな一緒」という考えが重要視される日本では
「私は、ラクト・オボ・ベジタリアンです。MSG過敏症です。乳糖不耐症です。 消火器外科の先生に高繊維食事療法を処方されています。ビタミンB12の欠乏症に気をつけるように言われています。」などと、アメリカの病院では平気で言えることが、日本では言いにくく感じてしまいます。実際に私は乳糖不耐症、高繊維食事療法、ビタミンB12については女子医大のNSTの方になんだか申し訳なくて言い出せずじまいでした。

私はアメリカの医療制度はベストではない、むしろ改善されなくてはならないところが沢山ある、と見ていますが、それでも病院内での食事に関しては(経管栄養を除いて)個人的に評価しています。 NSTの方には多大な負担とはなると思いますが、オーダーメイド医療が注目されつつある今、食事面でもより良いオーダーメイドが実現されるといいな、と思っています。

P.S. 経管栄養(チューブで鼻から栄養剤を入れる方法)に関しては日本の方が優れているのでは、というのが私個人の印象です。

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