2009年9月29日火曜日

公開講座のご案内

私のお世話になっている東京女子医科大学で、第27回公開健康講座が開催されます。
日常生活に潜(ひそ)むホルモンの病気~病気を見逃さないために~
という題で、内分泌内科の先生方が講師です。ご案内はこちら

日時:  平成21年11月21日(土) 13:00~17:00
場所:  東京女子医科大学 弥生記念講堂
対象:  一般の方
参加費: 無料(講演冊子付

肥塚(ひづか)先生も「ホルモンは生命のメッセンジャー」という題でご講演されます。しかも一番最初!!遅れないように行かなくては(汗)!!

それにしても講師陣が豪華です。参加費無料で、講演冊子までいただくことができ、さらに私たちの質問にスタッフの方が直接お答えして下さる相談コーナーも設置されるとのこと。皆さん、お誘いあわせの上、奮って参加いたしましょう!

2009年9月28日月曜日

慢性疾患と笑顔

病気=不幸?

「いつも笑っていて楽しそうね。」とよく言われます。確かに私はいつも楽しいことを考えるようにしていますから、自然と笑顔が多くなるのでしょう。また、私としては、生きているだけで素晴らしい、普通の生活が出来ることは本当に素晴らしい、と思っているので実際に「嬉しい」と感じながら生活しています。しかし、この笑顔は私の患っている難病があってこそ、なのかもしれません。笑顔は私の最大の強みであり、また私を支えてくださる方々への恩返しであります。そして、この笑顔を通して1人でも多くの方に希望を与えたい、という願いもあります。

まず私の持っている病気ですが、「先端巨大症(アクロメガリー)」という慢性疾患で、一般的に治る病ではありません。この病気は生活習慣とは関係はないと言われており、原因もまだ明らかではありません。毎年、100万人に4人ほどが診断される、非常に珍しい病気です。この先端巨大症という病気は脳下垂体という視床下部の下に位置する場所に成長ホルモンを過剰に産生する腫瘍ができることによって起こる病気です。私は脳下垂体に4.5cm以上の腫瘍ができました。診断されたのは24歳のときでした。この大きな腫瘍は私の視神経を圧迫したため、私は耳側半分が見えなくなっていました。私の人生最初の手術は脳神経外科医による頭の手術でした。私は、まだ深刻な病気になったことがなかったので、手術は病気との生活の始まりに過ぎない、ということがよく分かっていませんでした。手術自体は成功でしたが、ここからが大変な人生の始まりだったのです。

まず、注射の大嫌いな私は初めの頃、毎月の採血と筋肉中注射による投薬が大人ながらに怖かったですし、本当に嫌でした。特に筋注に使う針は19ゲージと針金のように太く、1.5インチ(3.81cm)という長さ。初めて見たとき、私は「こんなのを月に1回、一生打たなくてはいけないなんて耐えられない!」と思ったものです。お薬の副作用は注射の痛みだけでなく、疲労感、腹痛、下痢、食欲不振、頭痛、と辛いものもあります。そして何より、このお薬、一本が私の用量で6~7万円くらいするんです。毎月これを一本打たなくてはいけないんです。つまり、毎月そのくらいの医療費は最低でもかかる、ということです。「こんなに痛くて、副作用が辛くて、それでこんなにお薬が高いなんて…。私はどうやってこの病気と共に生きていけるんだろう?」でも、そのお薬を打たないと私は本来より10年くらい早く死んでしまうそうです。また、大腸がん、心臓肥大といった合併症が起こったり、目が見えにくくなってしまうことだってあるそうです。だから、この高くて、痛くて、辛い注射をしないといけないんです。

先端巨大症は様々な合併症も引き起こします。私の耐糖能障害、甲状腺腫などがそれです。加えて、先端巨大症との直接の関連性は定かではないのですが、慢性疲労、頭痛も抱えております。どれも外見からは分からない病気ですよね。これらのどれか1つだけでも大変なものは大変なのですが、これらを全部となると本当に辛いことも沢山あります。確かにそれでも「普通の生活」を送ることはできます。でも、その「普通」であることがいかに大変かは意外に分かって貰えていないように感じることもあります。

皆さんは酷い風邪で体全体がだるくなったことはありませんか?慢性疲労はそれがずっと続くような感じなんです。二日酔いで頭がガンガンしたことありますか?私の頭痛はそれが月に2~3回起きて、起きているのが辛いくらい痛いものです。そういった体で日常生活を送るのは、実はそれだけでも結構大変なことなんです。それなのに幸か不幸か外見は至って普通なので、このしんどさをなかなか分かってもらえません。ただし、先端巨大症の患者さん全員が私みたいな症状ではありません。ある患者さんはなんの問題もなく活発にスポーツを楽しんでおります。また、ある患者さんは様々な合併症で重度の障害を抱え、歩くのすら大変だそうです。

病気の大変さをここまで述べてきましたが、複数の慢性疾患を抱えていて辛いことだけではありません。確かに私は毎日病気と共に生きていて、沢山辛いことがあります。健康だったら経験しなくても良い苦難が沢山あり、挫けそうになってしまうことも度々です。だからと言って不幸というわけではないのです。そういった大変な思いをしているからこそ得ていることも多く、むしろ恵まれているとすら思うときだってあります。まず、私は人の痛みの分かる人になることができました。辛い思いをしている方々の思いを本当の意味で理解できるようになりました。また、病気を通して私は素晴らしい方々とお会いすることもできましたし、かけがえのないお友達をつくることもできました。

それに人の命の儚さと、それゆえの尊さも分かった気がします。私たちがこの世で与えられた時間は限られています。その時間の中でどれだけ意味のあることを成し遂げるか、といったことを今までは頭では分かっていましたが、病気になるまでは本当の意味を分からずにいました。今の私にはそのことが分かります。ですから、人の本当の幸せについても日々、意識するようになりました。限られた時間の中で、幸せだと感じることができなかったら、どれほど人生は空虚なものとなってしまうのでしょうか?そう思うと、私は自然と「病気を持っていても何が何でも幸せにならないと。私の幸せは私が作るんだ。」と前向きになることが出来たように感じます。

当然ながら、私だって抑うつ状態になることがあります。病の中で人生を呪ったこともあります。いっそのこと死んでしまいたい、と思うことだってあります。でも、私の命は実に様々な方々に救われ、また支えられているという恵みを思ったとき、何とも心が温かくなるのです。周囲で支えてくださるお医者さん、家族、友人、仲間と共に一日一日を精一杯生きていきたいです。自分の中では本当にどん底まで落ちた経験がある、だからこそ私は強くなったように思います。私の笑顔はその強みでもあります。

私がここまで至るには本当に様々な葛藤や苦難があり、今でもその闘いは続いております。それでも私は絶対に希望を捨てない、と心に決めたのです。私の主治医である、東京女子医科大学病院・内分泌センターの肥塚直美先生をはじめ、実に様々な方々に私の命は支えられています。そういった方々へのせめてもの恩返しは私が幸せになること、つまり笑顔です。先端巨大症にならなかったら無かった笑顔かもしれませんが、私はその笑顔で1人でも多くの方に希望を与えることが出来たら、と思っております。それが今の私の最大の願いであり、自分にできる限りでは最も重要なことなのです。